アーロン・ジャッジという名前のヤンキースの選手が5回の守備でボールを取り損ねたために一気に5点差が詰められ、先ほどまで勝利が確実であったと喜んでいたニューヨークのファンたちは一変して静まり返りました。
これは驚くべき展開でした。
試合の状況を詳しく説明しますと、まず最初ヤンキースはこの試合の初回にアーロン・ジャッジ選手がワールド
シリーズで彼自身初となるホームランを打ち、さらにジャンカルロ・スタントン選手もホームランを打って4回
終了時点で点差は5点に広がりました。
その時点でヤンキースはしっかりとリードを保持しており、また開始した一方のゲリット・コール投手が4回を
無安打に抑える完璧な投球を見せたため、試合が有利に進展しているという楽観的なムードが会場内に広まって
いました。
しかし次に迎えた5回、まさかの大ピンチが訪れました。
先頭打者のエンリケ・ヘルナンデス選手にドジャース初の安打を許し、その直後にトミー・エドマン選手の当た
りを中堅のジャッジが取り損なってしまったのです。
これは本当に驚くべきで、なんとジャッジ選手は今シーズン失策数がゼロで、持ち前の安定した守備力を誇って
いただけに、彼が大きなミスを犯してしまうとは誰も思っていませんでした。
次に打者で挑んだ選手の打球は、とてもやりにくいゴロに思えましたが、ここでも三塁を刺そうとする意識のも
と送られたアンソニー・ボルピー選手の送球がミスし、まさかのオールセーフとなってしまったのです。
それでもコール投手はギャビン・ラックス選手や大谷翔平投手を連続三振に打ち取り、続くムーキー・ベッツ選
手もゴロに仕留めるかに見えましたが、これがなんと内野安打になってしまったのです。
ここでの説明から、あなたが心を落ち込ませてしまう原因が何かを考えてみましょう。
それは、フレディ・フリーマンという選手が内野手として、また、テオスカー・ヘルナンデスが外野手として、
それぞれ自分たちの場面で適時打を放ち、それによって5点もの大きな損失を被らされたからではないでしょう
か。
さらに悪いことに、このゲーム（試合）の結果がもはや段階的な悪化からMaxの状態、つまり崖っぷちまで来て
しまいました。
もしこの試合に負けてしまえば、もはや避けようのない終わりが訪れるのです。
しかし、思いもよらぬ展開が待っていました。
その大差が一瞬のうちに逆転し、以前の同点の状態に戻ってしまいました。
その事実に対して、ニューヨーク市内は悲鳴を上げ、失望の声で溢れかえりました。
「こんなふうに3連続でエラーを犯すなんて、私たちが生きてきた中で見たことがない」との声や、「2つの大き
なエラーが試合の流れを一変させてしまった。
ドジャースにとってはすばらしい、非常に興味深いイニングになった。
一方、ヤンキースにとっては恐怖映画のような事態となった」といった意見が寄せられました。
さらに、「素晴らしい試合が、あれよあれよという間に壊れてしまった。
エラーの連発で、これについてはこれから何年たっても説明がつくことはないだろう」といった声も寄せられま
した。
「ヤンキースは、そのくだらない複数のエラーで自ら墓穴を掘った」といった、ジャッジたちに対する批判の声
も多く寄せられました。
球団としてのオリオールズは、当初はマイナーリーグであるウエスタンリーグを基盤にしていましたが、その後
1月に入ると、このリーグはアメリカンリーグと名前を改称しました。
この新たに誕生したリーグは、8つの球団でスタートを切りました。
この変更は、それまで12球団で構成されていたナショナルリーグがその年に8球団に縮小再編されたことに伴う
もので、以降、新たに8つの球団をアメリカンリーグに追加することでアメリカンリーグが8球団制を採用しまし
た。
この時点では、まだマイナーリーグとしての位置を保っていましたが、ナショナルリーグの下部組織として活動
を続けることになります。
また、この時にフランチャイズ権をシカゴにも拡大したという事実は、ナショナルリーグからの承認を受けたも
のでした。
1900年のシーズンが終了すると、ニューヨークでナショナルリーグの会議が開かれ、そこでジョンソン会長は、
新たにワシントンとボルチモアにもフランチャイズ権を持つことの許可を求めました。
ジョンソン会長は、アメリカンリーグをナショナルリーグに対抗するメジャーリーグと位置づけることを意図し
ていました。
そのためには、どうしても東部のメジャー都市にもフランチャイズを持つことが必要だったのです。
ナショナル・リーグが否定的な立場を保つ中で、1901年に新たなる年が訪れると、アメリカン・リーグがメジャ
ーリーグとして認められるという意識が高まり、その旨が公に告知されたという事がありました。
当初、その参加チームとしては8チームが挙げられました。
その中で、アメリカン・リーグには、1900年の既存8チームから、カンザス・シティ、ミネアポリス、インディ
アナポリス、バファローという4チームが除外され、新たに東部拠点としてワシントン、ボルチモア、フィラデ
ルフィア、そしてボストンが加わることになりました。
ジョンソン会長はこの年に、ニューヨークもフランチャイズの登録地として追加したい、という考えを抱いてい
ましたが、ナショナル・リーグの反発が激しく、それに加えてニューヨーク・ヤンキースというナショナルリー
グチームのオーナーが、政治的な裏工作を用いてこれを阻止しようとしたことから、別の策を立てることを強い
られました。
その結果、以前にナショナルリーグのチームを失ってしまったメリーランド州ボルチモアを、新たに参加する地
域として選ぶことになり、そこでボルチモア・オリオールズという新たなチームが生まれました。
このオリオールズは現在のオリオールズとは関係なく、それは後にニューヨーク・ヤンキースとなるチームの起
源にもなります。
このチームのオーナーと監督が特に注目を集めました。
それは、バン・ジョンソンから新チームのオーナー兼監督、そして三塁手として説得され、セントルイス・カー
ジナルスから移籍したジョン・マグローでした。
彼は、1901年にチームがボルチモア・オリオールズとして活動を始めた際の初代監督を務めていました。
ですが、彼とジョンソン会長との関係は不安定で、それは変わらなかった。
ジョンソン会長がニューヨーク進出を断念しない態度を見せたことに対し、マグローは抵抗を示し、1902年シー
ズンの途中でナショナル・リーグに戻り、ニューヨーク・ジャイアンツの監督職に就きました。
そして、彼が監督に就いた1週間後には、ジャイアンツのオーナーがオリオールズのチーム支配権を手に入れ、
オリオールズの選手を大規模な規模で引き抜いたのですが、そのことに対し、アメリカン・リーグ側は直ちにオ
リオールズの支配権を手に入れ、ニューヨークへのチーム移転をはたしたのでした。
ジョン・マグロー監督の特徴としては、勝負には厳格な姿勢を持ち、さらには相手チームの選手が走塁をしよう
とする際に、それを妨害するなどのラフなプレーも厭わないところがあります。
こうした選手たちに対して、アメリカン・リーグの会長であるバン・ジョンソンは、ナショナル・リーグのよう
な規則がなくて、粗暴なプレーや騒ぎやケンカが絶えないような野球ではなく、ルールがしっかりと適用され、
審判の力が強化される野球を推進していたのです。
しかしながら、彼らの間で決定的な対立が生まれることになります。
その原因となったのが、ボルチモアからニューヨークへの本拠地の移転だったのです。
このオリオールズの本拠地移転の際、アメリカンリーグとナショナルリーグの対立が先鋭化し、1903年には両リ
ーグで平和会議が開かれ、選手との契約トラブルを解決し、今後の協力関係を確認しました。
それに加えて、ナショナル・リーグは、自分たちのリーグが中心となるチームが存在しないという条件下で、ア
メリカン・リーグがニューヨークにチームを持つことにも了承しました。
この結果、バン・ジョンソン会長とアメリカン・リーグは、長い間の思いを遂げてニューヨークに進出すること
ができたのです。
その際、主力選手が次々と引き抜かれ、もうすぐ機能しなくなるところだったオリオールズを、フランク・J・フ
ァレルとウィリアム・スティーブン・デブリーが共同で18,000ドルを出資して買収し、チームをニューヨークに
移転させることになったのです。
その直前の1902年には汚職が発覚し、ごたごたがありました。
新オーナーとなったこの二人が最初に行った仕事は、ジャイアンツの妨害を受けずに球場を設置することだった
のです。
この二人が持つ強力なネットワークが彼らの動きを後押ししました。
その中には、市政や賭け事に強力なコネを持つ人々も含まれていました。
ファレルは、競馬やカジノ、そしていくつもの賭け事の場で財を築いてきた人物であり、一方、デブリーはニュ
ーヨーク市警の本部長という地位にいました。