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〈大谷翔平が突然、「何、言っちゃってんすか」と栗山監督の部屋を訪れ…WBC優勝後、“世界のオオタニ”が指揮官に伝えた“言葉の真意”〉から続く

2024.09.17 読書オンライン

ここでは、石田氏の新著『野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平 ロングインタビュー』(文藝春秋)より一部

を抜粋。結婚生活について語った独占インタビューを紹介する。(全2回の2回目/最初から読む)

石田 雄太

2024/08/11

source : Number Books

genre : エンタメスポーツ

インタビューに応じる大谷翔平 ©文藝春秋

今では世界的なスター選手となった、ドジャースの大谷翔平選手。そんな大谷と一対一で向き合い、インタビュ

ーを続けているのが、ベースボールジャーナリストの石田雄太氏さんである。大谷は石田氏とのインタビューの

中で、どんな言葉を紡ぎ、どんな思いを語っているだろうか。

 

30歳になる前に結婚することを決めた理由

昨年以来ですが、WBCでの世界一、ホームラン王、2度目のMVP、ドジャースとの契約、そして結婚……本当に

盛りだくさんの“おめでとうラッシュ”ですね。このたびはご結婚して、本当におめでとうございます。

「大谷翔平、ありがとうございます」

野球だけという空気を醸し出しながらの結婚……大谷翔平選手さんは人生の中での結婚をどんなふうに捉えてい

たんですか。

「そういう意味で考えれば野球も生き甲斐っちゃ生き甲斐なんですが、私生活においては、結婚することもワン

ちゃんがいることも自分の生き甲斐のひとつなので、それが楽しみのひとつなので、そういう感じですかねと言

った」

野球選手としてのピークを30歳から35歳に迎えると仰っていました、その30歳を前にして結婚することを決め

た理由はどこにあったのでしょうか。

「それってどうなんですかね……野球に関しては結婚することでのプラスはあってもマイナスはないかなと思っ

ているので、それはそれという感じです」

プラスに働くということは、どんなことをイメージしているんでしょうか。

「それはもう単純に、生きていく楽しみが増えるということですかね。野球をやっていれば打てない、抑えられ

ないときもあるんですけれど、もしそうなったとしたらそれは自分の実力がなかったというだけじゃないです

か。そんなの、私生活のせいであるはずもないでしょうし、そこはまったく別のものとして切り離せばいいこと

なのですからね。人生って必ずしも順調にいくわけではありませんから、そういうときでも楽しみがあったほう

が断然いいです。何事においてもそれだけは充実している、ということがプラスになるんだと思います」

大谷さんは以前、「1日40時間あったらいいのに」と仰っていました。そんな野球をやるだけで忙しかった大谷

さんが奥様との楽しい時間をどうやって作っていったのか、不思議なんですよ。

「彼女も働いていたので去年のシーズン中はほとんどアメリカへは来てなかったし、僕が右ヒジの手術をした後

でも、デコ(愛犬のデコピン)とふたりでリハビリしていましたからね。わざわざ時間を作るようなことは僕自

身はありませんでした」

「彼女はよく小説が好きで読むタイプなんですけど…」

オンラインで日本とアメリカではやり取りをしていたんですか。

「そうですね。電話で話をしていました。電話しながら一緒のものを見たり……お笑いも見ていました。ドラマ

も見てました。たとえば『VIVANT』とか、今はNetflixを見ています。『忍びの家』とかですね」

――えっ、日本とアメリカで、離れているのに同じものを見ているってことですか。

「そうですね。同じタイミングでテレビをつけて、同じタイミングで再生して、みたいな感じですからね」

――それはまた斬新なデートですね(笑)。いったいどんなタイプの女性で、どんなところに惹かれたんでしょう。

「何ですかね……比較的、見たいものだったり、一緒に楽しめるものが多いなっていうのは感じますね。だから

といって好きなものが全部同じってわけじゃなくて、彼女は小説が好きでよく読むタイプなんですけど、僕はま

ったく本は読まないタイプなんで、違うところは違うと、一緒のところは一緒って感じですかね」

一番最初に大谷さんに作ってくれた料理は何でしょうか。

「一番最初ですか? 一番最初か……彼女はアメリカには来ていますがキャンプ地には来ていないので、最初が

何だったのかな、うーん、思い出せないなぁ」

それじゃあ、最初じゃなくて、作ってもらって美味しかった料理は何でしょう。

「彼女としては作るのが難しい料理を言ってほしいんでしょうけど……へへへなんて。僕はカレーがやっぱり美

味しかったですね」

カレーですか? 具だくさんの?

「いや、ドライカレーでした。ルーから作ってくれましたよ。すごく美味しかったんですよ」

©文藝春秋

大谷さんは、いつも何と呼ばれてますか?

大谷さん、何と呼ばれてるんですか。

「僕は『さん』付けですね。『翔平さん』とか、あとは短縮した『さん』付けも……」

えっと、短縮というのは「翔さん」?

「僕は名前を呼び捨てにしています」

年下なんですか。

「年下なのです。2個下かな。僕が今年30歳で、彼女が……たぶん28歳です。あれっ、もし間違っていたらごめんなさい(笑)」

誕生日を一緒に過ごしたりとかはしますか?

「そうですね。僕の誕生日はシーズン中だったので無理でしたが、彼女の誕生日には一緒にいましたね。僕も彼

女も仕事の予定があったりして、それがジャストの日だったのかはともかく、だから、誕生日が近いタイミング

で一緒にお祝いをしました」

――誕生日のプレゼントは何を送りましたか?

「シューズです。彼女のサイズで作ってもらいました。店舗に出向いて買うのは難しかったので、人にお願いし

て、『プレゼントあげたいんだけど』と申しでて……もちろん誰にとは言いませんでしたが、母や(通訳の水

原)一平さんにプレゼントするときもそうしてきましたから、彼女にもそうやって用意しました。僕と一緒で、

何が欲しいというタイプじゃなくて、何でもいいけど実用的に使えるものがいいかな、というそういうタイプな

ので……何がいいかな、これがいい、じゃあ、そうしようって感じでした」

妻との意外な出会い「2週間ちょっとの間に3回…」

「短いスパンでたまたま何回か会った」というのは、大谷さんの生活を考えたらジムしかないと思ったんです

が……。

「ジムではないんですが、練習しているときだったみたいですね。というのも僕にとってはそこが微妙なところ

で、彼女が『最初に会った』と言うときのことを僕は認識していなかったんですけれど。彼女曰く『すれ違いざ

まに挨拶してくれた』と言うんですけど、僕はそれがどこなのか思い出せないです。練習施設の中の廊下だっ

て……でも、その次の2回目と3回目に会ったときのことはしっかり覚えています。だから、2週間ちょっとの間

に3回、うち2回は会ったのを僕も覚えているんです(笑)」

――大谷さんはエンゼルスを選んだときも右ヒジの手術を決断したときも、直感を大事にしてきましたが、今回

も直感のようなものはありましたか。

「どうなんでしょうかね。それもあるとは思いますが、一緒にいて楽だし、楽しいし。僕はひとりでいたときと

そんなに変わらずにいられるんです。それも彼女がいるからといって喋り方が変わるとか食べ方が変わるとか、

そういうことはなく、気を遣う必要がないので、最初から僕は何も変わらずにいられるというスタイルでした。

そういうところなんじゃないかな」

――それこそ決め手じゃないですか。

「決め手か……決め手は、何でしょうね。僕にもわかんないですけれど、これっていうものが、悪く言ったら決

め手を欠くし、よく言えばいっぱいあるし……へへへ」

大谷翔平と妻・真美子さん ©時事通信社

大谷翔平が考える「ささやかな幸せ」とは何?

 “野球翔年”大谷翔平、いつまでも子どもだなあと思っていましたが、ついに夫なんですね。

「そうですねぇ……と言いつつも、僕は変わっていないので、結婚したりワンコがいたりというのは変わったと

ころですが、今のところは実感はないですね。子どもができれば変わるのかもしれませんけど、そこまでの大き

な変化は感じていません」

翔平さんが彼女の前では子どもなんですか?

「僕ですか? どうなんでしょうね。僕のほうが年上なので……でも、それは彼女に訊かないとわかりません

(笑)」

それでは、“野球翔年”恒例の、大谷さんのささやかな幸せを教えて下さい。

「今ですか……家の庭が広くて、プールもけっこう広いので、デコが泳ぎを覚えました。それで、僕はまだヒジ

のことがあって泳げないので、デコの補助をしています。デコにライフジャケットのようなものを着せたら自分

からプールへ飛び込むようになって、今は投げたおもちゃを飛び込んで取って、ちゃんとおもちゃを取って、僕

のところまで戻ってきますよ。デコですか? デコはいつも犬かきで泳いでますよ(笑)」